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appreciation of the sun

雑記ブログ

「限りある身の 力ためさん」

日本語

新渡戸稲造『武士道』で琴線に触れたページを紹介します。

 

山中鹿之助という武士のエピソードで登場した和歌です。

憂きことのなほこの上に積もれかし

限りある身の力ためさん

 本書における訳をそのまま載せると、

もっともっと辛いことがわが身に降りかかれ! 私の力の限界を試してやろう

です。

 

山中のエピソードは、切腹について論じた文脈で登場します。

切腹は、単なる自殺の方法ではなく、武士の名誉に価値を置いた死である。

しかし、切腹が名誉とされることで、不条理な理由による打算的な切腹が濫用されるようになった。命が廉価になった。

真の名誉は天命を成就することである。いたずらな切腹は臆病である。

このような前段があったうえで、

戦いに敗れ、追われ飢えながらも、死を卑怯として自らを励ました山中鹿之助の忍耐を讃えています。

 

ただ、この和歌が誰によるものかは、本章を読む限りではわかりませんでした。

山中が詠んだか、山中について誰かが詠んだのか、それとも既存の歌が山中の説明のために引用されたのか、わかりません。

 

 

自らの名誉を守るべく、儀礼的な手続きに則ってなされる切腹から、武士の気高さを感じます。

現世であらゆる困苦と格闘する姿が、切腹より尊いというのも、大いに納得しました。

 

 

余談ですが、今読んでいる『武士道』は、山本博文さんによるちくま新書の現代語訳版(現代語訳 武士道 (ちくま新書))です。

新渡戸の言葉そのままで読みたいという思いもありますが、

新渡戸の考えをより理解することを優先し、いつか買ったこの現代語訳を読んでいます。

 

 

身に降りかかる困難に対して、

もっと来い、自分の忍耐の限界を試してやろう、と

かえって意気込むのは、まさしく武士にふさわしい姿勢だと思いました。

 

私も今を生きる武士として、

怒り、嫉妬、焦り、悲しみ、あらゆるストレスに際し、

この歌を思い、じっと耐えようと思いました。

 

「限りある身の力試さん」

いい言葉に出会いました。

座右の銘に加えました。

 

 

ありがとうございました。2015-12-26

 

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